おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2006年4月 1日 (土)
月刊きょうと/復職トレーニングを受けて・その1 (2006年4月)
3月上旬にバックアップセンターを卒業し、
社会復帰をとげられたNさん(男性)に、体験記を書いていただきました。
1.こころのマネジメントに気づく
風邪気味だと感じたら早めに寝るなど、身体面を意識的に管理することは誰もがやっていることでしょう。
しかし、精神面を意識的に管理していたかというと、私の場合ほとんど放置していた。正確にいえば「こころ」を、管理する対象として考えていなかった。せい
ぜい気分転換にランニングしたりお酒を飲んだりする程度で、身体面のように管理する必要があるとは考えていなかったのです。
うつ病の発病と受診、カウンセリング、休職、復職トレーニング…という流れの中で、「こころ」もマネジメントする必要があることを理解した。これは大きな成果でした。
2.復職トレーニングに参加して
休職して2か月ほど経っても生活はだらけたままで、午後まで寝てしまう日々が続いていました。そろそろ生活を切り替えなくてはと思いつつも、なかきっかけがつかめず、すり鉢の中をぐるぐる回っているような毎日でした。
そんな中、「復職トレーニング専門デイケア」の存在を知りました。このような状態で自分だけでできることには限界があると考え、即座に参加を決めました。
デイケアへの参加はいい経験でした。同じ悩みを持つ仲間と会話できたことがまずよかったし、通い続けることで生活のリズムもできてきた。週4日の復職トレーニング&プログラムは、内容・時間とも私にフィットしていました。
プログラムをこなすことで、二つの成果がありました。ひとつは作業することで集中力と思考力が養われること。もうひとつは、うつ病について種々の知識が得られること。これらには大いに助けられました。
3.職場復帰は「元の場所に戻る」ことではなく「次の場所に進む」こと
元のように仕事ができるかは不安なものです。不安は大きくなったり小さくなったりしますし、時の経過とともに小さくなるものでもありません。
職場復帰を自動車の運転にたとえて考えてみたことがあります。休職が「高速道路から一般道に降りること」だとすると、職場復帰というのは「しばらく停車し てからそのまま元のインターチェンジに戻ること」だと考えがちです。でもそうではなく、実際の復職は、「一般道に降りたあとも前に走り続けて、次のインターチェンジに入ること」ではないだろうかと。
復職トレーニングを受けて、以前のように動くことができるようになりました。まだまだ調子は万全とは言えませんが、急がず休まず復職していきたいと思っています。