おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2016年8月 1日 (月)
月刊きょうと/「『書く』ことのススメ」(2016年8月)
今回は利用者のあべのべあさん(男性)に、「書く」ことの効果について書いていただきました。
バックアップセンター(BUC)に通いだして約7ヶ月が過ぎ、復職もだんだんと近づいてきました。今回は通所を開始した頃から続けている「書く」ことについて書いてみたいと思います。
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「書く」ことのきっかけは、通所したころに出会ったBUCのメンバーからのアドバイスでした。
その方は気分や体調の活動記録をつけるときに、今日あったことを数行書いて、頭の整理をしているという話をされていました。その時にちょうど買ったばかりの手帳が手元にあったので気軽な気持ちで「書く」ことをはじめてみました。
「書く」ことを習慣化するにあたっては毎日、振り返りをして良かったことを数行書くことから始めました。
なかなか気分がのらない日であっても、「BUCに行くことができた」とか「朝、起きて家族と会話した」というたった一行だけでも「書く」ようにしていました。
もともと私には完璧主義的なところがあり、うまくいかなかったことばかり考えたり、前に進んでいる感覚が持てないと気分が落ち込んだりすることがありました。
数行でもよかったことを書いておくと、ポジティブな気分に切り替えやすくなります。また以前に書いていたものを読み返したときに、これまでの積み重ねを意識できるので自己肯定感にもつながっていきました。
この過程の中で、できなかったことよりもできたことに目を向ける姿勢がやはり大事なのだと思いました。
仕事を休職する前、私は「書く」習慣がなく頭でいろいろと考えるタイプでした。頭だけで考えていると、なかなか考えがまとまらなかったり、同じ思考を何度もしてしまうという状態に陥りがちになります。そうなると仕事もうまくいかなかったりしてストレスを溜めてしまうこともありました。
毎日、「書く」という習慣を継続していくうちに復職後も使える習慣にしたいという気持ちが芽生え、もっと活用したいという気持ちが出てきました。
復職という目的のために「書く」という習慣を継続する。こういう意識がモチベーションに繋がりました。書く内容も少しづつ濃いものになっていきました。
BUC内では多種多様な作業や課題をこなす必要があります。BUCで気づいた自分の課題や改善点もその都度書いておけば、より意識することができます。課題に対しての対処法がすぐには見つからなくても、ふとアイデアが浮かんだりすることがあります。
また、「書く」ことはストレスマネジメントの点でも効果があったと思います。思考や感情を文字にするプロセスで、思考や感情は整理されていきます。漠然とした悩みや憂うつ感の原因は単純なものではなく複雑に絡み合っており、原因が分かりにくいこともあります。
日頃、ストレスに感じていること、幾つかの原因、現われた症状などを書いて記録しておくことで、調子を崩しても元の状態に戻しやすくなりました。
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皆さんも気軽にできて、効果がありそうなこと(自身の目的に沿っていること)を始めてみてはいかがでしょうか。
「まずは一つのことを続ける。頑張り過ぎない。楽しみを見つける。効果は後からついてくる。出来ない日があってもいい。三日坊主でも続ければ継続」
というぐらいがいいかなと私は思っています。