おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2016年4月 1日 (金)
月刊きょうと/「私のふるさとじまん」(2016年4月)
今回は利用者のさくらもちさん(女性)に、故郷である富山県の魅力について書いていただきました。
子どもの頃、47都道府県名を一生懸命覚えた時期があった。「全国でテストすると、一番忘れ去られやすい場所が富山県(と佐賀県)だそうだ、だからちゃんと覚えるように」と、先生にようく言われたものだ。当時は「私の生まれ育った県はそんなに影の薄いとこなんだ~」と、子ども心にもショックではあったが、大人になった今、改めて富山のよさを実感することもある。せっかくなので『月刊きょうと』読者の皆さんにも、富山の魅力をアピールしてみようと思う。
まず富山と言えば、恵まれた豊富な自然であろう。立山連峰の雄大な眺め、黒部峡谷のトロッコ、晴れた日の雨晴海岸のえも言われぬ美しさなどは、ようやく全国にも浸透してきて嬉しい所だ。そしてそんな立山の雪解け水は、神通川や庄川という一級河川で運ばれ、美味しい米や野菜を作り出す。私は京都に来てからは、あえていろんな地域の米を食べることにチャレンジしていたが、秋に両親が富山の新米を送ってきてくれたので、口にしてみると、やはり美味い。BUCの月曜日の振り返りで言っちゃうくらい、美味い。と、いうわけで富山産コシヒカリ、ぜひ食べてみて欲しい。
他にも特筆すべきは、やはり魚であろう。「天然のいけす」と呼ばれる富山湾でとれた白エビやぶりは絶品である。この辺りもかなり全国的に有名になってきたので嬉しい。私には「他の県に進学すると、朝から刺身を食べられなくなるから、私はずーっと富山に居る」と、高校時代に言い切った友人がいる。また、各家庭にいきつけの魚屋が何軒かあり、私の祖母などは、魚の移動販売車を毎日のように家の前に停めさせ、いいものを吟味していたな。と、いうわけで富山県民の魚好きは、かなり気合が入っている。回転ずしであってもかなり高レベルの魚が供されるので、ぜひ、行って食べてみて欲しい。
では、富山の「人」についてはどうだろう。雄大な自然に囲まれ美味い物を食べ、すくすくと育った子ども達は、そのまま富山に永住するパターンが結構多い。さすが、住みやすさや幸福度のランキングで毎度上位に来る県だ。そんな富山を飛び出し活躍する芸能人は、室井滋、西村雅彦、柴田理恵、立川志の輔、パーク・マンサー(『学校に行こう』に出てた人)など…何というか、非常に個性派が多い。
更に、私が自慢したいのはクリエーターの多さだ。藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、細田守(バケモノの子)、滝田洋二郎(おくりびと)、山内マリコ(若手作家)などなど。環境で言えば、厳しい冬の時期が長く続き、若者にとっては遊ぶ場所が少なく、都会のような刺激が得られにくい。だからこそ、ずっと抱いてきた思いやセンスを爆発させ、何かを創り出す人が続々、生まれてくるのかもしれない。富山出身のクリエーター達に、今後も期待大だ。
以上、つらつらと書き連ねてきたが、富山の「課題」と言えば、多分、私が都道府県をせっせと覚えていた頃からずっと変わらない。ズバリ「押しの弱さ(アピールが下手)」だろう。せっかく自然や食べ物、人もそろっているのに、その良さを発信する力が弱いのだ。そこは、観光先進都市である京都に住んでいると痛感するし、京都を見習って欲しいな~、と思うこともよくある。
皆さんが富山に行かれた際は、ぜひ、富山の良さを色んな場所で吹聴して頂ければ幸いである。