理学療法・作業療法
ワンポイントアドバイス
2013年1月10日 (木)
介護技術~スライディングボードを利用した移乗編
今回はスライディングボードを利用した移乗について解説します。
スライディングボードについて
車イスからベットや車などの移乗に使います。木やプラスティックなどでできており、表面は滑りやすく裏面は滑り止めの加工がされています。介護保険の福祉用具貸与の対象用具です。
スライディングボードの適応
被介助者がある程度座位が保つことができ(手すりを持てば座れる程度)、かつ、立位移乗を行うには重介助という方が適していると言えます。また殿部に褥創のある方は皮膚のずれや摩擦によって悪化させる可能性がありスライディングボードの利用は避けるべきです。
スライディングボード導入の条件
・ベットの高さが調節可能なこと
・車イスの肘置きが外れること
・車イスの足置きが外れること(可能な場合)
車イスの設置位置と介助者の姿勢
・車イスは、ベットの真横に置きます。
・介助者は写真1のように片膝立ちの姿勢になり、足部、下腿部で車イスが動かないよう固定します。
スライディングボード利用における利点と欠点
利点 もち上げること無く移乗できるので介助量が軽減でき、介助者の腰痛の予防になる。
欠点 スライディングボードを敷きこむ手間がある。
スライディングボードを上手に活用できるまでに練習や慣れが必要となる。
実際の手順
(1) 車椅子の肘置き、足置きを外しておきます。またブレーキがかかっている事を確認します。
(2) ベットの高さを調節します。ベットマットレス面の高さを車イス座面よりも少し高めにすると、すべり落ちる力を利用できます。
(車イスからベットへ移乗するときは、逆。マットレス面を車イス座面よりも少し低くします。)
(3) 被介助者のお尻の下にスライディングボードを片側のお尻が乗るように敷きこみます。介助者は被介助者の前に立ち、片手を被介助者の脇下に入れ、体を支えておきながら斜め前に倒します。斜め前に被介助者を前傾すると、反対側のでん部下が浮き、空間ができ、楽にスライディングボードを差し込むことができます。
(4) スライディングボードの片側は車椅子座面にしっかり載せます。しっかり乗っていないと転落するので確認します。
(5) 介助者は、片手を被介助者の脇下に入れて体を支え、もう片方の手を腰にあてがい、被介助者の体を車椅子側に倒しボードの上をすべるように、ゆっくりとすべらせ移乗介助します。(持ち上げないこと。)
(6) スライディングボードをはずします。移乗させた方向に被介助者の体を倒して殿部を浮かせて、スライディングボードを抜きます。
(7) 肘置きを元とおりにきちんとはめます。
(8) 移乗した後には、奥にしっかりと座ってもらう介助が必要です。被介助者がプッシュアップするか、介助者が奥までしっかり座る介助を行い、前後左右に体を倒して、滑ったときに生じる、皮膚のずれや摩擦をとります。
作成者 竹山和成(理学療法士)
協力者 四方公康(理学療法士)、藤原英行(作業療法士)、安井綾美(理学療法士)
参考文献
http://www.pro-kaigo.com/textbook/pg24_2.html
潜在力を引き出す介助 中央法規出版
http://www.chuohoki.co.jp/products/welfare/3277/