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2010年4月17日 (土)
転倒について
転倒すると骨折に至るケースも多々あります。転倒によって生じる可能性の高い、大腿骨頚部骨折や脊椎圧迫骨折などは、治癒過程にもよりますが、高齢者にとって寝たきりや 認知症につながることもあります。
さらに、骨折した本人の生活のしにくさや、家族などの介護負担も増えます。また、転倒後症候群として、精神的トラウマが活動性の制限要因となり、一度転倒すると、「また転ぶのでは?」と不安になったり、自信がなくなったり、動くことがおっくうになることも多いのです。自信喪失や転倒への不安の訴えは転倒者の50%に及ぶとされています。このことからも、高齢者の転倒による骨折を防ぐ手段として、転倒予防はとても大切と言えます。
なぜ転倒するのか?
転倒は、はしごを登ったり、ステップ台に乗ったりという危険度の高い活動よりも、歩行や乗り移り、階段、小さな段差を超える、床のものを拾おうとしてかがむ、手を伸ばす、といった危険度の低い活動時に起こります。
いつもしている動きには、「このくらい足を挙げれば大丈夫」という思いがありますが、思っていた以上に段差があったり、体が動いてくれないといったことが出てきます。そんな時に転倒しやすいのです。高齢者の転倒については、転倒しやすい環境を知り、予防・対策していくことも大切ですが、高齢者個人の持つ転倒要因、いわゆる内的要因を考えていくことも必要です。
転倒の内的要因とは?
- 感覚系の加齢変化
- 高齢になると、表皮の柔軟性の欠如や肥厚により、受容器が表皮から遊離して感受性が低下します。振動・表在感覚の低下は歩行、バランス機能の低下に大きく関係していると考えられます。
- 視覚の加齢変化
- 夜間移動する場合や部屋の明るさによって、段差の見落としや環境把握に支障を来たしやすくなります。このことも転倒要因としては重要な要素になります。
- 神経系の加齢変化
- 記憶や学習能力の低下、反応時間の遅延、動作緩慢、協調性の低下、屈曲姿勢、バランス機能低下など広範な機能低下が起こり、日常生活活動などの不適応をもたらして、転倒を招く要因となります。
- 筋骨格系の加齢変化
- 加齢に伴う筋量の減少、筋組成の変化、運動神経の減少などが要因となり筋力低下をもたらします。また、高齢になると、関節可動域の制限や姿勢異常が見られるようになります。
- これら、関節可動域制限は、体幹・下肢に分布し、特に足関節や体幹の制限は重心移動の制限をもたらし立位バランス障害の強い要因になります。