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読まないで!?ドクターXの酔いどれ放言/「自身も含めて依存症に悩む担当医」(2017/10)
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「自身も含めて依存症に悩む担当医」
〈終業後、京都市伏見区の居酒屋Fにて〉
今日は何から頼みましょうか?
「そうやな、鱧の落としにしよかな。お酒は任せるわ」
承知しました。では、お酒は……おっ、月の桂! これにします。
〈「月の桂・栁」の冷酒を重ねて4合目に突入〉
私はほどほどに飲むという器用な真似ができなくて、飲みすぎることが多いんですが、先生はいつも程よいお酒ですよね。
「僕はこういうときしか飲まない機会飲酒やし、量もあまり飲まないほうやからね。お酒は飲める人のほうがアルコール依存になりやすいから、君も気をつけたほうがいいよ(笑)」
先生のように何事も節度ある範囲で楽しめるようになりたいものです。
「いや、実は僕も、依存症の域にまでなったことがあるんよ」
えーっ、先生がですか!? ここでは言えないヤバいことだったり??
「そんなんじゃないよ。恥ずかしいから言いたくないけど、ポケモン・ゴー(笑)」
あ、なるほど……。節度を超えましたか。
「一時期すっかりハマってねえ。1日に10時間くらいやってたときもあるし、キャラクターをゲットするために円山公園を遅くまで歩き回ったりしてたからね」
今もやってらっしゃるんですか?
「もう全くやってないよ。他のやりたいこと……運動とか読書とかが、ポケモンのために犠牲になっていることにふと気づいて、時間がもったいない! って思ってね」
先生は本格的なポケモン依存症に陥る前に脱却できたわけですが、依存症になってしまう人と、ならずにすむ人とでは何が違うんでしょう?
「依存症は誰でもがなり得るという認識がまず大切やね。僕もまさか自分がポケモン依存になるとは思ってなかったけど(笑)、そこから脱却できたのは、さっき言ったように他にやりたいことを持っていたからやと思うし」
運動や読書も楽しみたいという気持ちがブレーキになったんですね。
「ただ、自分が子どもの頃やったら、もっとハマって抜け出せなくなっていただろうなとも思う。若年の患者さんを診ていても、不登校や不眠などの背景にスマホ依存がうかがわれるケースが増えている印象を受けるね」
スマホ依存ですか。
「ちょっと話はズレるけど、精神科病棟に入院してもらう際、ケータイやスマホは持ち込めないことを説明すると、それ無理! って言って入院を拒否されるケースが増えていて困ってるんよ。片時もスマホを手放したことがないから、手元にないと不安になるんやろうね。無ければ無いで、なんともないんやけどねえ」
スマホ以外にはどんな依存症があるんでしょうか?
「薬物依存とかギャンブル依存とかいろいろあるけど、個人的に診ていて怖いなあと思ったのは危険ドラッグやね。昔は脱法ハーブとか呼ばれてたけど、コレはほんとに危険で、薬の影響で急性腎不全になって命にかかわる場合もあるんよ」
名称の通り、本当に危険なドラッグなんですね……
「どんな作用・副作用が出るかも未知数やし、絶対手を出して欲しくないもののひとつやね」
ドラッグ中毒などは分かりやすいですけど、仕事中毒とかギャンブル中毒とか曖昧なものもありますよね。依存症かどうかの明確なラインはあるんでしょうか?
「基本的には、社会生活に支障が出はじめたら依存症ということになる。ただ、そのラインは曖昧で、たとえば仕事中毒で夫婦関係が悪化して離婚になった場合、それを支障と見るかどうか? これってケースバイケースやんね。それにスマホもその典型やけど、時代とともに新たな依存対象が問題になることだって多いからね」
依存症に陥らないためには何が大切なんでしょう?
「大局的には、人間みな何かに依存してるっていう側面もあるけどひとつの事だけにしがみつくんじゃなくて、いろんな気分転換法を持ってるほうがいいと思うね。絵を描くことだけが生きがいっていう人は、手を骨折してしまうと全てダメになっちゃうけど、ここで手が使えないなら好きな映画を観ればいいや! っていう人のほうが強いよね」
承知しました。私も日本酒だけでなく、ウォッカやテキーラも楽しめるよう精進します!……っていう話ではないことを学べて勉強になりました(笑)。お酒以外の楽しみも意識して作っていきたいと思います。
(当院匿名精神科医X べるぶネオ編集部)
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