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読まないで!?ドクターXの酔いどれ対談/「食事とメンタルヘルスの関係に悩む担当医」(2017/6)
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「食事とメンタルヘルスの関係に悩む担当医」
〈終業後、、京都市伏見区の居酒屋Fにて〉
今日の先生はいちだんと普通ですねえ。
「お決まりかもしれんけど、それっていつもの僕は尋常じゃないってこと?」
やはりそう来ますか(笑)。もちろんそうではなくて、先生はいつも機嫌のムラがなく落ち着いてらっしゃるなあと。
「いや、今日はお腹がペコペコで短気になってるかも。早く料理頼もう!」
夕食とらずに残業ですもんね。注文はどうしましょう?
「そうやな……あ、マグロの山かけ! あと日本酒、銘柄は君の好きなんでいいわ」
承知しました。すみませ~ん。
〈冷酒「蒼空」3合が約30分で空き、白ワインに移行〉
しかし先生、マグロを注文されるのって珍しいですね。
「魚類は健康にいいからね。豊富に含まれるオメガ3系脂肪酸が過剰な炎症反応を緩和して、アレルギーはもちろんメンタルヘルスにも好影響があるっていうエビデンスが示されてるんよ」
私も毎日マグロを食べることを心がけます。お財布と相談しながらになりそうですが……。
「いや、マグロのような大型魚ばかり摂取すると蓄積重金属の問題があるから、常食するなら自分の肘より背丈が小さい魚……大人ならサバとか、子どもならイワシとかのほうが安心やね。僕もマグロはたまの贅沢にしてるよ」
それなら私の財布でも大丈夫そうです(笑)。
「あと山芋にも多く含まれる食物繊維は、腸内環境を整えて短鎖脂肪酸の産出をうながすんや。実際、野菜豊富な食事がメンタルヘルスを向上させるというエビデンスもある。もちろん、全体としてバランスの取れた食生活が重要って前提の上やけどね」
さすがよくご存じですねえ。ちなみに先生の好きなメニューは?
「唐揚げ、ハンバーグ、カレーライス。あと、こってりラーメン!」
医者の不養生ってやつですか(笑)。でも好物はそうであっても、普段は食事に気をつけてらっしゃるんですよね??
「実はあんまり気にしてないというか、基本的に妻が作ってくれる食事をなんでも食べてるだけで。栄養に配慮して調理してくれてる妻には感謝してるよ」
それで心身の健康が順調であれば問題ナシです。
「僕の場合は日頃からそれなりに運動しているし、メンタル面も一応大丈夫やからいいんやけど、メンタル面の不調に悩んでいる患者さんたちこそ、エビデンスに基づいた食生活改善をしてほしいというのが本音やなあ。患者さんへの食生活指導は正直、まだ十分にできてへんけど……」
なかなか助言しにくいものなんでしょうか。
「助言しても実践が難しいんよ。男やもめに短鎖脂肪酸! 一日30品目! なんて言っても無理があるし、女性であっても家族の好みに流されて揚げものに偏ったりしがちやし。僕だって単身時代は頭では分かってても無理やったからね(苦笑)」
私も一日30品目とか頭に浮かぶことはあるんですが、七味唐辛子を振ったらこれで一挙に7品目! とか考えてる体たらくですので……。なにか妙案はないものでしょうか?
「まず入院患者さんについては、今のところ糖尿病食や心臓病食、腎臓病食といった身体疾患用の特別食はあっても、メンタル疾患用の特別食って無いんよ」
確かに私も聞いたことがありません。
「メンタル疾患に対する食事療法のエフェクトサイズは薬物療法や精神療法に比べると弱いとはいえ、現にこれだけのエビデンスが揃ってきてるわけやから、メンタル疾患に改善効果が望まれる特別食が考案されて、さらには算定も取れるようになるといいなあと思うね」
なるほど。では外来患者さんについては?
「退院後の患者さんは配食サービスを利用する人も多いんやけど配食サービス会社がメンタル疾患の改善効果が望まれるメニューを提供してくれたら、患者さんも無理せず良質な食生活を送れるのになあと思うね。当社では栄養精神医学的エビデンスに基づいた配食を提供しています! って」
それがビジネス的にも成功すれば一石二鳥ですよね。
「そうそう。おっと、飲みすぎ食べ過ぎもメンタルヘルスによくないから、今日はこの辺にしとこうか(笑)」
先生のそういう心がけが普段の平静さにつながってらっしゃる気がします。私もほどほどにして、今いちど食生活を見直してみます!
(取材・原稿)べるぶネオ編集部
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