べるぶネオ
ドキュメント・ザ・舞台裏/ITシステム管理室のリアルな裏側をお見せします!(2016/10)
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ITシステム管理室のリアルな裏側をお見せします!
当病院の舞台裏を潜入レポートする本企画。
今回は当病院のパソコンや電子カルテなどの管理を一手に担うITシステム管理室を取材しました。
何がどうなってるのか全然分からへん!
……近年導入されている電子カルテについては、これが正直な心のうちである。
もちろん最低限の使いかたは把握しているしいつでもどこからでもカルテを見られる便利さも実感している。けれども、どういう仕組みで動いているのか全く知らないまま業務をこなしていると、ふとギモンが頭によぎって気になってしまったりする。
膨大なデータはどこに置いてあるんだろう?
地震が起きたり停電したりしたら大丈夫なんだろうか?
今回はこんなギモンを晴らすべく、電子カルテを管理しているITシステム管理室を取材して、その裏側をご紹介してみたい。
スタッフの増田さん、堀井さんに話を伺う
いそいそとITシステム管理室にお邪魔すると、スタッフのお二人、増田さんと堀井さんが真剣な眼差しでパソコンに向かっておられた。話しかけづらい雰囲気だが、ここは取材しないことには始まらない。
「すいませ~ん。お願いしていた、べるぶネオの取材で伺いました!」
するとご両人とも一旦手をとめて、快く取材に応じてくださる運びとなった。ヨカッタ何事も言ってみるもんである。
ITシステム管理室って普段なにをしているの?
Q.あのう、今やっておられるのは何の作業ですか?
堀井 「これは電子カルテのマスター管理画面です。カルテのシステム保守をやっているところです」
こう言われてもあまりピンと来ないが、詳しい説明を聞いたところで余計に分からなくなるだけだろうから、「ほお、これがマスター画面ですか」などと適当な相槌でその場をしのいでおく。
Q.このデスクではその他、どんな業務をしているんですか?
増田 「電子カルテや医事システムなどのマスター管理のほか、統計データの作成なんかの業務も多いです」
堀井 「パソコンの修理依頼も結構あります。多いときは月に10件くらい来ますね」
傍らのテーブルに並べられているノートパソコンは全て、これから修理しなければならないそうだ。
堀井 「院内にはパソコンが何百台とあるので、調子の悪いマシンがどんどん順調に出てきます(笑)」
Q.全てIT管理室で修理されるんですか!?
堀井 「こちらで対応可能な内容であればもちろん直します。ファンがほこりを吸いすぎて回転しなくなってたり、キーボードのキーが一部外れてしまったりとかですね。でも故障によってはメーカーに返すしかないこともありますね」
サーバー室に足を踏み入れる
Q.電子カルテとかの膨大なデータって、どこに置いてはるんですか?
増田 「データ類はすべてサーバ室にあります。近くなので行ってみましょうか」
案内されたのは医事課の奥まった一画にある、しっかりと施錠された金属製の扉だった。扉が開かれると隙間からヒンヤリした空気が流れ出てくる。
うわ、寒いですね!
堀井 「サーバ室は機器の安定運用のため、常に気温20度に維持されてるんです」
そして室内が点灯されると、そこには鈍く黒光りするサーバが整然と積まれていた。おおーここに電子カルテのデータのすべてが!?
堀井 「ええ、ウチのすべてのPC端末はこのサーバにアクセスして情報を参照しています」
電子カルテの情報は非常に重要なので、常に3台のサーバで同期しているという(=最新データが3台のサーバ間で常にコピーしながら共有されている)。
Q.大地震が起こってここにあるサーバが全て倒壊してしまったりしたらどうなるんですか?
増田 「別の地域にあるNAS(ネットワーク接続ハードディスク)にバックアップデータが毎晩コピーされるので万が一ここのサーバが壊れても大丈夫です」
Q.じゃあ、もしも停電してしまったら?
堀井 「UPS(無停電電源装置)があるので大丈夫です。停電したらUPSのバッテリーによって30分間はサーバが稼働します。病院全体の自家発電装置が停電後30分以内に作動し始めますから、その後も大丈夫です」
二重三重にセキュリティ対策がなされていて、よほどのコトが起きても電子カルテはダウンしなさそうである。
Q.ところでサーバってパソコンとどう違うんですか?
堀井「何百台というパソコンからのアクセスに耐えられる設計になっていますから、とにかくスペックが全然違います。1台のサーバには2個のハードディスクが入っていて、それらも常に同期しているんです。データの処理能力と堅牢性が違うということになるでしょうか」
Q.これだけハイスペックだとお値段のほうも張りそうですけど、お幾らくらいするんですか?
増田 「詳しくは分かりませんが、サーバ自体は1台あたり数十万円で、それを10台ほど運用しているので、合計で数百万円程度でしょう。ただ、電子カルテのシステムや保守まで入れるとそれこそ億単位の金額になりますし価格は一概に言えないんです」
筆者のようなシロウトの質問は得てして的外れになりがちである。
Q.ところで、このへんのスパゲティというか釜揚げうどんみたいなコードは何ですか?
堀井 「これはスイッチングハブと言って、病院全体に枝分かれしている無線LANのアンテナや有線LANのコンセントにつながっています。家庭用のルータの大きい版ですね」
その他、インターネットへの接続ルータの管理や、待合いモニター(待合ホールの液晶画面)のサーバ管理なども行っているとのこと。
仕事に対する想いをうかがう
Q.お仕事のうえで気をつけてらっしゃることはありますか?
増田 「やはりセキュリティです。専用回線を引いて今回ご説明したような対策を講じているほか、ウイルス対策を行ったり、職員の皆さんのUSBメモリを定期的に一斉チェックしたりしています。ただ、これらは私たちだけではなく、職員の皆さんにも日ごろから意識して気を付けてもらう必要があります」
堀井 「あとは仕事をいかに早くするかですね。例えば診察中にドクターのパソコンが壊れたとなれば、すぐ現場に駆けつけて対応します。そのほうが少しでも患者さんをお待たせせずに済みますから」
Q.お仕事されていて嬉しいことは?
増田 「やはり問題を解決できたときでしょうか。職員さんからの要望に応えられたときは満足感があります」
堀井 「それが結果的に患者さんのためになる場合もあるので、なおさらですね」
Q.逆に大変なことは?
増田 「新しい事柄がどんどん入ってくることですかね。サーバの仮想化とか、VTI(仮想トンネルインターフェイス)とか……。頭が痛いですわ(笑)」
堀井 「自分はメーカーの者ではないので、不具合の原因を特定するのに難儀することはありますね」
Q.お仕事での必須アイテムなんかはあったりしますか?
増田 「なんと言ってもインターネットです。トラブルがあったらまずは検索エンジンで調べます。パソコンの分解方法まで紹介してあったりしますから助かりますね」
堀井 「個人的には熱で消せるボールペン、フリクションボールが手放せません(笑)。シャーペンよりも滑らかに書けてすぐ消せるのでメモ書きに最高なんです」
Q.それってどんなのですか?
堀井 「これです。もともと増田さんに教えてもらったんですよ」
たしかに増田さん、堀井さんともに揃って愛用されている。ITシステム管理室を支えているのはこのボールペンだったのか!
Q.二人でお揃いのボールペンってとても仲良しですね(笑)。ひょっとして……。
堀井 「やめてくださいよ~。でも僕ら二人、デスクは隣り合わせですけど、相手が隣に座っているときでも連絡はメールで行うという、チョットおかしな関係なんです」
Q.ええっ? 実は険悪な仲とか!? それともツンデレ??
増田 「いやいや、そうじゃないんです。情報をテキストとして蓄積していくためには、メールでやりとりしたほうが効率的なんですよ。同様のトラブルが過去にもあれば、そのときの対処法が参考になったりしますから」
……こんな微妙なカンケイ(?)のメンズ2名コンビで日々業務をこなしてらっしゃるITシステム管理室。これからも当病院の電子カルテやコンピュータを、どうかよろしくお願いしま~す!
(取材・原稿)臨床心理士・名倉
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