理学療法・作業療法
ワンポイントアドバイス
2018年11月16日 (金)
転倒予防について「歩行サポート商品編」
高齢者は屋内外,様々な場所で転倒する危険があり,一般地域住民の転倒率は20~40% と報告されています。転倒は骨折によって,また,骨折しなくとも再転倒への不安から,外出を恐れ,そのためADL (日常生活動作)が低下し,要介護,寝たきり状態に至るケースが少なくありません.したがって,転倒しやすい方の場合,早めに歩行サポート商品を使用するなど対策を講じることが重要です。
<歩行サポート商品>
1本杖(T字杖)
◆長所
安価である(千円~)
使い慣れている方が多い
◆短所
・杖が倒れた際に、拾うこと
が困難。(拾った時に転倒)
4点杖
約11,500円
レンタル150円(介護保険)
◆長所
・杖で支える面積が大きいため、歩行が安定し易い。
・杖が倒れ難い。
◆短所
・面積が広いため、物にぶつかるなど注意が必要。
ロフストランド杖
約8,500円
レンタル 150円
◆長所
・上腕が固定され、安定しやすい。
◆短所
・上腕が固定される為、手の自由が少ない。
歩行器(車)
四脚固定方歩行器
(持ち上げ式歩行器)
◆長所
・安定している。
・立ち上がりにも使用できる
◆短所
・両手がふさがる。
・下の階に響く
(ガチャン、ガチャン)
約16,000円~ レンタル300円~350円
肘支持型歩行車
56,000円~ レンタル350円~
◆長所
・腕から支えるので、下肢への負担も少ない。
◆短所
・大きいため、狭い箇所では使用し難い。
四輪腰掛け付歩行車
28000円~ レンタル300円~
◆長所
・疲れたら途中で座る事ができる。
・車輪が大きいため、少しの段差も乗り越える。
◆短所
・ブレーキなどの操作を全て手で行うため、手が不自由な方は使い難い。
買い物型歩行車(シルバーカー)
25000円~ レンタル300円~
◆長所
・籠がついている為、買い物などにも使用できる。
◆短所
・前輪がからだの中心から遠いので、操作がし難いことがある。
杖と歩行器の違い
杖を使用する場合は、ゆっくり足を出すことができないと難しい。そのため、突進や小刻み歩行の方には上手く使えないことが多い。
歩行器を使用する場合は、升目(車輪で囲まれた枠)内に、足が入れば安定して歩行できる可能性が高い。(シルバーカーは囲いの中に入らないので注意が必要)
転倒時身体を守る用品
保護帽(ヘッドギア)12,000円~
基本は頭部を守るもの。
オーダーメイドで、頬や後頭部のガードや一部分の厚さを変えることができる。
取り外しについては、マジック式とバックル式がある。
ヒップ・プロテクター:7,000円~
大腿骨頸部を転倒時の衝撃から守る。
欠点としては、しっかりフィットしているので、ズボン(パンツ)の上げ下ろしがし難い。
肘・膝サポーター:各2,000円~
歩行時の転倒では、下肢の支持性が低い方の場合、膝から崩れ落ちる転倒も多い。
室内を四つ這いで移動する方にも効果的。
欠点としては、蒸れる点や歩行時に膝あてのポジションがずれてくることがある。
参考文献
第52 回日本老年医学会学術集会記録
〈パネルディスカッション2:高齢者の転倒―その成因の解明と予防対策―〉
高齢者の転倒リスクの評価
神崎恒一
作成者: リハビリテーション室 理学療法士 四方公康