おうばく通信
おうばく心理室コラム
2020年2月 5日 (水)
【おうばく心理室コラム/2020年2月】「おうばく病院の料理サークル」
ここのところちょっと小難しい専門的な話題に偏っているので、今回は目先を変えて日常的な話題でも…ということで、職場のサークルについて書いてみようかと思います。
当病院会には職員向けの福利厚生の一環として、さまざまなサークルがあります。野球部やゴルフ部、登山部、バスケ部、フットサル部、ツーリング部、ボーリング部、サイクリング部といった運動系が中心ですが、園芸部、パン作り部、料理部といった文化系もあります。
私自身は料理サークルに入っており、年に数回、部員のみんなで料理学校に行って調理実習のレッスンを受けるという活動を地味に続けています。運動系サークルのように日頃からトレーニング! とはいきませんが、自宅での日々の調理が自主トレーニングとも言えるわけで、こう考えると非常に熱心な部員が揃っているものと自負しています。
料理サークルに入ったのは、若い頃から調理がわりと好きだったからでして。実家暮らしの頃は勝手に台所を使って母親に叱られたり、それならばとレストランの厨房でアルバイトしたりしました。実家を出てからは夕食を作るのがほぼ日課となり、レシピ本を見ながらあれこれ作ってみたりしたものです。
自分はもともと凝り性なところがあり、庖丁や鍋など調理道具も少しずつ良いものを揃え、そうすると仕上がりもよくなる気がして一人で悦に入ったりもしていたのですが、いつも心中に引っかかっていたのは、ほぼ独学でしか調理をやっていないことでした。庖丁の使い方、食材の扱い方、鍋の火加減などなど……。
厨房のアルバイトを経験したとはいえ、しょせんは大衆レストランでの学生バイトですし、決まったメニューを決まった手順で加熱して盛り付けるだけであって、ちゃんとした調理技術を基礎から教えてもらったわけではありません。
なにごとも基礎から体系的に学ぶことが大切で、それによってその後の伸びしろが大きくなると思うのですが、かといって趣味半分で調理師学校などに入学するのは経済的にも時間的にも無理なことは明らかで、これはもう仕方ないのかなァと半ばあきらめていたのが実情です。
そんな中、一般人向けの料理教室というものが結構存在することを社会人になってから知りました。当時はまだ女性のみを対象としている教室が大半で(現在は男性向けの教室も増えているようですが)、そのような場に男性一人で飛び込むのはためらわれたり、問い合わせてみても男性は受講できないと言われたりという状況だったのですが、とあるマンツーマンの個別教室では受け入れてもらえて、何度かレッスンを受けました。
このときに、庖丁の使い方や、野菜の下処理の仕方、調味料の使い方、魚の三枚おろしなど実践的な基礎技術を学ぶことができたことは、今もなお役立っています。
ただ、マンツーマンのレッスンだけに授業料がけっこう高く、時間的にもそれで半日つぶれてしまうため、経済的・時間的な理由から次第に足が遠のき、けっきょく半年くらいで終了してしまいました。
その後は再び、独学でぼちぼち調理する日々に逆戻りしたのですが、そこで出会ったのが職場のサークルでした(実を言うと、サークル制度の発足を受けて、私自身が「料理サークル」を立ち上げたのですが。笑)。
職場の有志で集って、みんなで料理学校に行って調理を学びましょう、というのがコンセプトです。ある程度の人数が集まれば貸し切りグループレッスンの形で受講できるうえ、レッスン代をサークル費から出してもらえるとなれば、願ったりかなったりの一石二鳥ではないですか!! おかげでいろんなレシピを楽しく学びながら、レパートリーを少しずつ広げることができています。
趣味としての調理のよいところは、実益を兼ねられる点だと感じています。もちろん高級な食材を追求すれば出費もかさみますが、一般的には、調理に慣れてくると、安い食材で美味しく作れるようになってくるものです(「不慣れなうちはレシピ通りの食材でしか作れなかったのが、次第に、そのときお得に安く買える食材でうまく代用できるようになる」とか)。
また、自分で調理すると外食や加工食品の割合が小さくなるので、出費を抑えるだけでなく、栄養面も自分で考えてコントロールしやすくなります(「塩分を控えるためにお出汁の旨みを加えてみよう」とか「ビタミンと繊維を無駄にしないためにニンジンの皮をむかずに使ってみよう」とか)。
「美味しく、安く、ヘルシーに。なおかつ、手早く作れる」の4拍子を目標に、日々の調理を楽しんでいます。
なお、作った料理を人に振る舞うこともありますが、ひとつ気をつけているのは、「美味しいねと言ってもらうのを期待しない」ことでしょうか。
何事もそうですが、褒めてもらうことを目的として行動すると、褒めてもらえなかったときに落ち込んでしまいます。相手からの評価は、相手次第で大きく左右されます。自分では美味しいと思って出した料理でも、相手の好みやそのときの体調によって感じ方はさまざまです。したがって、「褒められたい」という外発的動機づけではなく、「我ながら美味しく作れた」という内発的動機づけを心がけています。
…と、さいごは無理やり心理学っぽいテーマにしてみたところで、今回は筆をおきたいと思いますが、皆さまもよければエンジョイ・クッキング♪ してみてください~。
文責:臨床心理士・名倉