うつ病をはじめとして、さまざまな精神的不適応に広く用いられている心理療法のひとつ「認知行動療法」。近年ではこの呼称が一般的となっていますが、もともとは「認知療法」と「行動療法」という別の療法でした。
おおまかにいうと、否定的なほうに偏り過ぎている考え方を現実的にしていくことで症状の改善を目指すのが「認知療法」で、適応的でない行動を適応的な行動にしていくことで症状の改善を目指すのが「行動療法」です。この両方を取り入れて、考え方と行動のいずれをも改善の対象としていくのが「認知行動療法」で、近年ではこれが主流となってきているのです(厳密には英国と米国それぞれに別の流派が存在し、両者が統合されるプロセスの中で認知行動療法が形作られていくのですが、詳細は割愛して話を進めます)。