本コラムでは今まで、心を健康に保つために大切なポイントについて種々紹介してきましたが、いずれも心理学的な見地からのものでした。孤独感の解消、アサーション(自己主張)の向上、まず行動から始めること、自己効力感の涵養、マインドフルネスの習慣、失敗したときの解決的思考などなど…。
ただ、心の状態は当然のことながら心理面だけで決まるわけではなく、それ以外にも多くの要因に左右されています。代表的なものだけでも「食事」「運動」「睡眠」の3つはメンタル面に非常に大きな影響力を持っていると言われており、数多くのエビデンスが示されているとともに、筆者の実感としても本当にその通りだと痛感しています。
とくに食事は、うつ病との関連性が大きいと言われています。たとえば、脳内分泌物質のひとつであるセロトニンを枯渇させないためにトリプトファンやオメガ3系脂肪酸を多く含む食品をしっかり摂るほうがいいこと、血糖値を乱高下させないために高GI値食品(精製糖や小麦粉など)を取り過ぎないこと、余分な体脂肪が増えすぎると内分泌のバランスの崩れからメンタル面の不調を来しやすいのでカロリーオーバーに気をつけること、心身のバランスを整えるため各種ビタミンやミネラルもまんべんなく摂ること、等々です。
そこで今回は心の健康を保つために大切な「食事」について、教科書的な説明だけでなく、筆者の実感もまじえながら考察してみたいと思います。