おうばく通信
BUCきょうと機関誌『ばっくる』連載エッセイ
2009年9月 1日 (火)
月刊きょうと/夏のおもひで(2009年9月)
今回は利用者のひとりさきさん(男性)に、夏の思い出話について書いていただきました。
関西に赴任して来てかれこれ5年、これまで夏休みに夏らしい行事をまったく行ってこなかったのですが、この夏はじめて仲間うち4人で海に行って参りました。
事前準備でバーベキューの道具やビーチパラソルなどを購入する段階から、学生にかえったようにワクワクしっぱなしでした。
目的の場所は日本海側の京丹後にある小天橋海水浴場。
途中の久美浜海岸から眺める日本海側の景色は、早朝ということもあり、周囲の小山に薄霞と雲が低くたなびいていて、まるで水墨画を見ているような美しさでした。
海水浴場の浜辺もゴミや不純物がほとんどなく、サラサラと零れ落ちる砂粒は太平洋側の黒ずんだ砂とはまるで別物で、童心にかえって砂山の塔を作ったりして遊びました。
炎天下ではありましたが、海水はとても冷たくて心地よく、涼むのにも丁度よかったですし、水も綺麗で魚の群れまで観察できました。
さらに周囲に目をやれば、美しい素足のマーメンドたちがキラキラと輝きを放ちつつ、天使のような笑い声をあげて舞い踊り続けていました。
そう、ここはまさにパラダイスなのだと自我を忘れて悦に浸りまくりでしたが、周囲の海水浴客から見れば、さぞや不気味なオッサンに見えていたことでしょうね…。
すっかり泳ぐことを忘れて、マーメイドたちに魅せられてしまい、その美の虜と化していました。
吸い寄せられるようにオイルを塗ってさしあげたり、一緒に「ダルマさんが転んだ」やら「スイカ割り」に参加したくなったりする衝動に駆られるのをぐっと我慢していましたが、目の前に陣取っていた姉妹?が突然全裸になって生着替えをはじめたのには流石に全身硬直して見いってしまいました。
お昼は砂浜でのバーベキュー、炭火おこしに苦労しつつも美味しく頂きましたが、とても食べきれないほどの量があり、私としてはめずらしく食べ残してしまいました。
となりのテントのおじさんから素潜りで採集したと思しきサザエの差し入れまで頂き、地元の方の温かさにも触れ合うことが出来ました。
時間の経つのも忘れて遊び呆けていましたが、気がつくと全員顔も体もまっ赤に日焼けしていて、ヒリヒリして衣擦れすると痛いほどに。
帰りの車中で、これだけ日焼けしていたら週明けにみんなに色々言われるだろうなあ、などと考えながらも、久しぶりに充実した休日を過ごせたことへの満足感と、心地よい疲労を感じながら、自然と生命の力、そして何より若く美しきマーメイドたちから頂いた活力に感謝の思いを馳せながら帰路についたのでした。